BORN TO RUN


メッシュ営業課で、メッシュ関連製品の営業を担当している田澤です。

前回の私のコラムで、不整地を走るトレイルランニングについて書かせて頂きましたが、
今回もランニングネタで、おススメの本を紹介したいと思います。

“東京マラソンの人気” ”皇居ラン” 等々、各メディアでマラソンやランニングが頻繁に取り上げられているように、
ランニングが空前のブームになっており、ランナー人口も急増しているようです。
実際、お取引先様と雑談をしている時に、「いやー私もランニングやってるんですよ~」
と言う方にお会いする事も多くなりました。
そんな時によく紹介している本が、ランナーの間で数年前に 話題になっていた、
「BORN TO RUN クリストファー・マクドゥーガル 著」という本です。

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以前 にも触れましたが、私もランニング好きで、走ったり走らなかったりの 時期も含めると暦は約10年程で、
3年ほど前からは 長距 離のトレイルを中心に年に数回は大会に出場しています。
ランニングを始めた頃は体も重く、走る事がか なり億劫だったのですが、続けていくうちに徐々に体が順応し始め、
スピードも速くなり、かつ長い距離 を走れるようになっていきました。
半年もすると走る事に爽快感を感じ始め、最低でも週に2~3回は走っていないと落ち着 かない状態に、
俗に言う”ランニングジャンキー”の出来上がりです。
その後はもっと長い距離を、もっと早くという自らの欲求に答えるべく走り続けています。

そんなランニングですが、怖いのはランニング障害と呼ばれる様々なケガです。
ランニングをする人ならば、誰でも一度は経験すると言っても過言ではない程、ランナー共通の悩みだと思います。
私自身もこれまでに何度か膝や足の痛みに悩まされ、走れない時期がありました。(それでも騙し騙し走ってしまうのがジャンキーの性)
そんなランナーの悩みを解決へと導き、さらには走る喜びを再認識させてくれる「目からうろこ」的な本が本書なのです。

大まかな内容
自身もウルトラランナーである著者は、昔からランニングによる故障に悩まされていた。
「どうして私の足は走ると痛むのか?」の疑問に、有名なスポーツドクターたちの答えは
「人間の足は走る為には出来ておらず、走ることは重大な障害をもたらす」
「走るのであればばクッション性の高い靴、サポート器具で守る必要がある」
なのであった。

その後著者は、メキシコのカッパ―渓谷と呼ばれる秘境で暮らすタラウマラ族の存在を知る。
現地語で「ララムリ」=「走る民族」とされる彼らは、超長距離ランナーであり、
手製の粗末なサンダル履きで過酷なトレイルを走り続ける事が出来ると言う。
その真意を探るべく著者はタラウマラ族への接触を試みる。
その過程でタラウマラ族と親交のあるカバーヨ・ブランコという謎のアメリカ人と出会う。
彼はタラウマラ族の地元であるカッパ―渓谷での、ウルトラマラソンの開催を企てており、話はタラウマラ族と最速のウルトラランナーであるスコット・ジュレクをはじめとする7人のアメリカ人とがメキシコの荒野を激走するレースへと進んで行く。
レースを征するのは走る民族なのか?最速のウルトラランナーなのか?
と言ったところ。
読み始めると止まらなくなるノンフィクション作品です。

さて 私自身が感じたこの本の面白いところは、上記のストーリに絡めて
「人は走るために生まれ、走るために進化してきた、つまり走ることは人間の本能だ」
という著者が到達した結論を、人類学や科学的な説明を交えて解き明かしている点。
さらに全ランナーの悩みであるランニング障害は、実は足を守る為に開発された
ランニングシューズによってもたらされているという点です。

著者 の説はこうです。
ラン ニングシューズが開発される以前(1970年前半)の靴のソールは薄かった為、
ランナー達は足に負担の掛かりにくい走法で走っていた。
その為 現在よりもランニング中のケガが圧倒的に少なかったという。
ランニングシューズの開発以降は以前と走法も変わり、タイムも飛躍的に縮まっていったが、その走法(ストライド走法等)ではどうしても踵から着地しやすくなってしまう為、足への負担がとても大きく、徐々にランニング障害が増えていった。
ランニング中のケガを予防する為に更にクッション性の高い靴が次々とと開発されたが、
いかにクッション性の高い靴を履いたとしても、走る際に足に掛かる衝撃を完全に吸収することは技術的に不可能であり、そのクッション性の高い靴に守られた足は、本来持っていた筈である衝撃吸収力を失ってしまい徐々に弱体化していく。
さらにクッション性の高い靴を履いているという安心感から、より一層強く踵を踏み込んでしまい、足に対する衝撃がさらに強くなる。
こうしてランニング中のケガがドンドン増える、”ランニング障害”負のスパイラルに突入してしまった。

その負のスパイラルから脱却すべく、本書で訴えているのがベアフットランニング=裸足でのランニングなのです。
著者曰く、足は本来こき使われるのが好きであり、筋肉と同様に使えば使うだけ強くなっていくといいます。
クッ ション性の高い靴を脱ぎ捨て、裸足で走る事によって足を鍛え直して、本来人類が持っていた長距離を走り抜く強さを取り戻そうというのです。
事実、この本がアメリカでベストセラーになった後、ナイキやニューバランス社等の大手シューズメーカーが一斉にソールの薄いベアフット系のシューズを発売し始め、現在もヒットを続けています。

文明 がもたらした快適な生活は、確かに便利で捨てがたいものです。
が、その快適さを追求するが故、人類は本来有していた能力を退化させてしまった。
もしかしたら他にも本来有していたであろう、失われた能力がたくさんあるのではないでしょうか?

原点回帰。
実に興味深い事柄だと思いました。

長く なりましたが、お勧めの一冊です。